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署名・捺印の効力(1)

今回はまず「捨印」についてご紹介いたします。
「捨印」とは、契約書等の文書において、後からその文字の訂正を可能にする欄外に押印しておく印のことですね。
私も最近、クレジットカードを作成しましたが、その際に発行会社から捨印の押印を
求められました。

ただ、捨印は原則として押印してはいけないものです。
なぜならば、後日どういった訂正をなされるか分かりませんし、場合によっては悪用される可能性も十分に考えられるからです。
ですから、その人と強固な信頼関係を築いていない場合には、捨印の押印は拒否するのが無難です!

実は、我々も「委任状」にて捨印を頂くことが少なくないのです。
例えば、諸官庁に提出する中で、やむを得ず、記載事項に不備を指摘された場合には
別途お客様から書類を頂かなければならず、その手間を省くためにも、あらかじめ
訂正印を頂いておき、柔軟に対処できるようにするためです。
したがって、私もお客様から捨印を頂く際には、リスクをご説明させていただくように
配慮致しますので、万一説明不足があった場合にはどうぞ遠慮なくご指摘をお願いいたします。


※参考文献
署名・捺印の法律問題を徹底理解
加藤英男著

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署名・捺印の効力(3)

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