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契約書チェックの着眼点について

こんにちは。行政書士ユウ法務事務所です。
本日は、契約書作成における着眼点について書いていきたいと思います。

内容は、「ビジネス法務」という雑誌からになります。最近よく法務雑誌は読んでいます。今回のように面白い内容がありましたら、また紹介させていただきますね。

契約書には、「取引のルールブック」に当たる内容と「万一の場合の保険」に当たる内容が記載されています。
例えば、売買契約書を例にとると、契約書の前半については、取引のフローに従って、「商品」「発注」「個別契約の成立」「納入」「受入検査」「引渡し」「支払い」などの条項があります。そして契約書の後半には、「商品に欠陥があった場合の対応(瑕疵担保)」「商品が他社の特許等を侵害していた場合の責任(知的財産権)」「天災等で契約が履行できなかった場合の措置(不可抗力)」「契約相手が契約違反や倒産した時のキャンセル(解除)」「契約相手と紛争になった場合の対応(裁判管轄)」などが典型的な「保険条項」となります。

まず第一に契約内容をチェックする際には、当該取引内容を確認する必要があります。取引の内容を具体的なイメージとして意識ができるようになると、「おかしい点」が浮かび上がってくるということです。

契約書のチェックにおける「おかしい」点の典型例は、以下の5つです。
1.契約条項が実務にあっていない
2.自社に不利な条項が存在する
3.定めるべきことが定められていない
4.法律違反の条項が見受けられる
5.契約書の文書が論理的に正しくない

そうすると、クライアント様の中には契約書案を持ってこられてこれで間違いないかというチェックの依頼をされる方がいらっしゃるのですが、そこでは、取引内容における貴社の条件面については把握できるのですが、より具体的なアドバイスをさせていただくためには、当該取引内容について共有していただいて、実務的な側面からアドバイスをさせていただくのがよりしっかりとした内容の契約書が出来上がるということが言えるのではないでしょうか。

さて、簡単にではありますがこれから契約書をチェックされる方もこうした取引内容の側面からの視点を設けることによって、新たなアプローチとなれば幸いです。

参考文献;ビジネス法務 平成28年7月発行
     中央経済社

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